う蝕の再考察②
いきなりですが、がんの診断の検査に用いられるPET検査から。
自分も去年PET検査を受けたのですが、その時に唾液腺という言葉があり、不思議に思ったので少々調べました。
PETの原理(ネットより引用)
PET検査では「がん細胞は正常の細胞に比べて多くのブドウ糖を取り込む」という性質を利用して、 ブドウ糖にフッ素-18[18F]というごく微量の放射線物質(放射線同位元素)をくっつけた薬剤 (以下、FDG)を体内に注射します。すると、がん細胞は正常な細胞より多くのFDGを取り込みます。 そこから放出される微量の放射線をPETカメラでとらえて、がん細胞の位置や大きさや進行の度合いを調べます。
脳、唾液腺、扁桃腺、心臓、肝臓、腎臓、尿管、膀胱などでは、正常であってもFDGの集積が認められます。
集積部位の説明などは、ふつうはスルーしてしまいがちですが((-_-;))
PET検査の図(http://www.ai-hosp.or.jp/sinryouka/center_pet/page3-1.htmより借用)
唾液腺は、糖のエネルギー代謝が高いため、FDG-PET検査で、ガンと同じような糖の集積像が認められます。
FDG-PET検査では、FDG(フルオロデオキシグルコース)という造影剤を使います。
FDGはブドウ糖に良く似た薬で、本来は臓器の糖の代謝、とくに脳の糖の代謝機能の検査に使われてきました。
唾液腺も、FDGが集積しますので、平時から糖をたくさん取り込んでエネルギー産生を盛んに行っていることがわかります。
基礎歯科生理学(医歯薬)より
唾液腺の酸素消費量はかなり高く、ATP(エネルギー)をかなり多く作り出して、唾液を作る活動をしています。この時に用いられるエネルギー源は、主にグルコースで、糖のエネルギー代謝が唾液の産生に重要になっています。
むし歯菌は砂糖からエネルギー産生をして乳酸を排泄していますが、私たちの細胞も主たるエネルギー源は、糖(砂糖)です。
私たちの細胞も、低酸素状態などでミトコンドリアで糖を利用できないときは、嫌気性解糖して乳酸を産生します。
う歯(虫歯)や歯肉炎などの炎症による集積もFDG-PET検査でよく認められます。
むしば(う蝕)の歯にも、FDGは集積しますので(内因性のグルコースの集積)、DFTのシステムを考えると、象牙芽細胞が盛んにエネルギー産生をして象牙質エナメル質の液体潅流を行って、齲蝕の進行を防いでいる可能性が高そうです。
砂糖の摂取を抑えると、一時はむし歯は減少しますが、摂取制限にも関わらずまた再発するのもこのためであると思います。
糖の長期間の制限は、私たちの宿主因子(抵抗力)のエネルギーを削いでいくからです。(ミトコンドリアでのエネルギー産生障害)
歯医者さんの、「虫歯予防のために糖を断ちなさい」という指導は、体全体でみると、ミトコンドリアのエネルギー代謝を障害して、むし歯は一時は減るかもしれないけれど、体の病気を生み出す素地づくりをしている可能性があります。
病気を治す予防歯科では、糖のエネルギー代謝をアップさせて体質を改善していく時に、むし歯ができないように「糖のエネルギー代謝」の回復をはかっていくことに意義があると考えます。
「糖のエネルギー代謝」が完全に回復してミトコンドリアが元気になれば、病気も治るし、むし歯・歯周病も防げます。
そのためには、口腔内の環境改善だけでなく、食事の問題や、体の歪み・電子のフローの歪みの改善、精神ストレスの除去など、トータルに改善していく必要があると考えます。