代謝学⑤
現代人に必要なのは、「弱酸性」細胞内環境
動物が、生きていくためには、大量のATPというエネルギーが必要です。
ATPというエネルギーを生み出す過程で、酸素が必要なので、呼吸をしなければ死んでしまいます。
酸素がない時には、解糖系という経路で、糖を乳酸へ代謝する過程で、少量のATPを産生します。
この解糖系(酸素をつかわない代謝)でできる少量のATPでは、エネルギー量が足らずに死んでしまいます。
ミトコンドリアで大量のATPが作られますが、最終過程の電子伝達系での電子・水素の処理のために、酸素が必要です。
この処理過程で必要な酸素をミトコンドリアに供給するために、動物は呼吸をしています。
TCA回路では、脱水素酵素が働いています。
これは「酸化」反応です。
なので、ミトコンドリア、細胞内は、「弱酸性」の環境が、正常な状態です。
一般健康常識では、酸化はとにかく「悪いこと」ととらえられていますが、細胞では酸化反応も還元反応も両方バランスよく必要です。
水素水や、水素吸入など「抗酸化物質」は、このTCA回路、電子伝達系を阻害しやすいので、一時的には良い(目的を持った限定的な使用)ですが、長期的にはミトコンドリアのエネルギー代謝を障害して行きます。
がん細胞でも、ミトコンドリアでエネルギー代謝していたガン細胞は、水素水や水素吸入など過剰な抗酸化物質の害によって、代謝障害をおこしがん細胞でも死滅していきます。
しかし、その後は恐ろしいことが起こります。
その状態から生き残ったガン細胞は、再発や転移をおこし、この時は悪性度がとても高い解糖系で生き残り乳酸を大量に産生する超悪性のがん細胞になっています。