MDCのブログ

健康は、変えることのできない生命の「代謝の法則」に従ったことに対する「結果」です。

3型糖尿病(アルツハイマー)と歯周病

3型糖尿病(アルツハイマー)と歯周病

 

歯周病アルツハイマーには切っても切れない関連があります。

プロケアとセルフケアにより、口腔内のバクテリアを少なくすることは、炎症性物質が少なくなることで、全身の糖のエネルギー代謝の改善に働きます。

さらに重要なことは口腔内の状況からエネルギー代謝の状態を読み解いて、糖のエネルギー代謝を改善することです。

 

3型糖尿病とは

ja.wikipedia.org

 

 

アルツハイマー認知症は、脳の糖尿病で、インスリン抵抗性から短期記憶を担う神経細胞ブドウ糖を利用できないようになり、エネルギーが不足することで機能が低下していきます。エネルギー不足の結果、アミロイドβが蓄積していきます。

アルツハイマーの根本原因も、ミトコンドリアの糖のエネルギー代謝の障害です。

糖のエネルギー代謝を障害する物質は、主にPUFAが酸化されて産生されるアルデヒド類です。このアルデヒドは、タンパク質を変性(劣化)させていくために、アミロイドとして沈着していきます。

アルツハイマー病 - Wikipedia

 

 

慢性歯周病になると、唾液や歯肉からMDA(マロンジアルデヒド)というアルデヒドが多く検出されます。(J Clin Periodontol. 2019 Jun;46(6):608-622.Oxidative stress-related biomarkers in saliva and gingival crevicular fluid associated with chronic periodontitis: A systematic review and meta-analysis)

2次脂質過酸化物(反応性カルボニル化合物・アルデヒド類)は、歯周組織破壊を促進すます。

歯周病とPUFA(9月の論文から)の続き - MDCのブログ

 

 

 

インスリン分解酵素は、インスリンを分解するだけでなく、アミロイドβタンパクも分解してくれます。(J Pathol. 2021 Dec;255(4):346-361. Insulin-degrading enzyme: an ally against metabolic and neurodegenerative diseases)

 

多くの説明では、インスリンがたくさん分泌されるためにインスリン分解酵素が消費されてしまい、アミロイドβが分解されずに蓄積していくと書かれています。

インスリン分解酵素」の新着タグ記事一覧|note ――つくる、つながる、とどける。

 

 

このインスリン分解酵素は、アルデヒドで変性してしまいます。

(Biochemistry. 2005 Nov 22;44(46):15345-50. Susceptibility of amyloid beta peptide degrading enzymes to oxidative damage: a potential Alzheimer's disease spiral)

アルツハイマー型認知症の原因「アミロイドβ」 糖尿病だと蓄積が高まる | NHK健康チャンネル

 

過酸化脂質はアルツハイマーでみられる神経変性の原因であることが示唆されています。

(Free Radic Biol Med. 2013 Sep;62:157-169. Lipid peroxidation triggers neurodegeneration: a redox proteomics view into the Alzheimer disease brain)

 

PUFA(多価不飽和脂肪酸)は、脂質過酸化連鎖反応(自動酸化)を容易に起こし、反応性の高い求電子性アルデヒドが形成されます。

 

上記の研究では、4-HNE、アクロレイン、MDA(マロンジアルデヒド)の3つのアルデヒドが調べられました。

4-HNEはオメガ6から、アクロレインはオメガ3(リノレン酸)から、MDA(マロンジアルデヒド)はオメガ3から主に生成されるアルデヒド類です。

(崎谷博征「オメガ3の真実」)

 

脂質の酸化は、連鎖反応的に進み、糖化反応よりも圧倒的に早く進みます。

hobab.fc2web.com

 

アルデヒドは、あらゆるタンパク質を変性させるために、細胞のタンパク質が変性してミトコンドリアの機能も低下して、糖のエネルギー代謝に深刻な障害を与えていきます。

 

歯周病アルツハイマーも根本原因は同じです。

 

PUFAをできるだけ少ない食事をして、ショ糖を十分にとってミトコンドリアが代替燃料である脂肪を燃料にしないようにすることが重要です。

 

 

(補足)

脂肪を長時間燃料源にすると、ミトコンドリアで糖よりも脂肪からのアセチルCOAの取り込みが優先するために(脂肪を優先して燃料とする)、糖を燃焼させるホルモンであるインシュリンの感受性が低下(インスリンがすぐに効かなくなってくる)していきます。

 

さらに、脂肪から分解されて燃料とするためにできる大量のアセチルCoAは、糖からアセチルCoAを作る酵素(PDH)をブロックしますので、糖がミトコンドリアで利用できなくなります。

 

こうすることで、糖が細胞内で利用できずに細胞内で糖が「余る」ことにより、インシュリン抵抗性(インシュリンがあっても糖を利用できない)を示していきます。

 

ミトコンドリアは、燃焼する材料は糖か脂肪かのどちらかしか選べません。

ランドルサイクル

 

ランドルサイクル - MDCのブログ

 

 

慢性的に砂糖が足らずに脂肪を燃焼していると(飢餓状態)、糖が入ってきてもすぐに糖の燃焼には切り替わらないので、即座に糖が使えない状態になります(インスリン感受性低下)。

やがて、常時脂肪を主な燃料源にするために、脂肪が分解されて大量の脂肪が、血液や細胞内に余った状態になり、糖が利用できずに糖が細胞内や血液で過剰に余った状態(インスリン抵抗性)になっていきます。

 

脂肪を燃料するために血液や細胞内で脂肪が浮いた状態になるために、これが酸化しやすい油(PUFA)であると、容易に酸化して、猛毒のアルデヒドとなっていきます。