むし歯の原因と予防の考察4
「germ theory」と、「terrain theory」
むし歯、歯周病も、現代医学で信じられている仮説である、
「germ theory」
をもとに考えられています。
「germ theory」は、日本語で「病原体説」「病原菌説」などといわれ、
あらゆる病気や疾患は、ばい菌やウイルスなどの微生物などの外的要因が主に原因であり、遺伝子や外的環境要因も影響を与える、
という説です。
https://en.wikipedia.org/wiki/Germ_theory_of_disease
病気や疾患は、悪い奴(病原体)が侵入してきて、それと戦ってやっつけないと、体が乗っ取られる(病気になる)、という考え方です。
この現代医学の基礎である病原体説は、実際の病気に当てはまるのでしょうか。
口腔内感染症を考えてみましょう。
例えば、虫歯菌。
赤ちゃんが生まれたときは、口の中にむしば菌はいないといわれています。
歯が生えてくると、主にお母さんからの口うつしなどで、お母さんのむしば菌が赤ちゃんに感染するといわれています。
口移しゼロ、キス(赤ちゃんへのチュー)もゼロなどほぼあり得ないので、みなさん、むし歯菌には必ず感染しているといっていいと思います。
しかしながら、むし歯菌に感染すれば、すべての人が、むし歯(病気)を発症するわけではありません。
むし歯菌(病原体)に感染 イコール むし歯(病気)では、ないです。
むし歯と虫歯菌の関係からみてもわかるように、人の体で感染症(病気)が起きる起きないには、「環境因子」が深く関与しています。
むし歯菌や歯周病菌は、感染(菌が入り込んできても)しても、ほとんどは常在菌のように共生し、宿主側の問題、環境の良し悪しで悪さをします。
http://www2.dent.nihon-u.ac.jp/g.microbiology/oral_infection/index.html
一般社団法人 日本口腔衛生学会理事長で大阪大学大学院歯学研究科教授の天野敦雄は、
「う蝕と歯周病という2大口腔感染症の病原菌は感染すると一生口の中に住み続ける常在菌と化す。人類はむし歯菌・歯周病菌との共生を優位に保たなければならない。」
と、学会ホームページ挨拶で話しています。
http://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/about/greeting/
このことは、言い換えれば、病原菌は通常は感染しても悪さをしない常在菌となっているが、体の細胞環境が悪くなると(細胞のエネルギー代謝の低下して宿主の形態形成維持機能が低下すると)、病原菌は悪さをしだす。
ということです。
なので、
病原菌 イコール 病気
では、ないことをお話しされています。
では、Germ Theory(病原体仮説)と対抗して
これに対抗する仮説が存在します。
ぺシャン博士が唱えた、
「terrain theory」
です。
ベシャン博士は、
「病気を引き起こすのは微生物ではない。微生物の感染後に病気になるかどうかは、私たち人間の体の状態である」と主張しました。
「terrain theory」は、残念ながら、日本語にはなっていないようです。
崎谷博征医師はこれを、
「宿主説」(宿主側の健康状態が、病気を引き起こすかを左右する)(環境要因、宿主側の健康状態しだい)
と言っています。
山田豊文先生も言っているように、病気を起こすかどうかは「細胞の環境が良いか悪いか」次第です。
Keyesの三つの輪がありました。
むし歯の発生に最も大きな影響をしているのが、
「宿主」の輪です。
むし歯菌も、我々の細胞も、糖を取り込んでエネルギー産生(糖のエネルギー代謝)をしています。
宿主側の糖のエネルギー代謝を低下させる様々な因子によって、宿主の抵抗力は落ちて、むし歯のような感染症の病態が発症します。
これは、むし歯菌に限ったことではありません。
今のワクチンのような、病原体を攻撃するという考えからの治療法がうまくいかないことからも推察できるのではと思います。
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/742100