代謝学から①
「忙しい人のための代謝学~ミトコンドリアがわかれば代謝がわかる~」(田中文彦著)から、崎谷博征医師の著書も含めみていきたいと思います。
(下記での引用の図は、ネットからお借りしています。)
「忙しいひとのための代謝学」は色々な書物の中でもとても分かりやすい本です。
巷の健康情報の正誤の、自分自身の判断基準としてチラ見されてみたらと思います。
巷の健康情報と、生化学で示されている科学的な代謝反応との不思議な相違は、どこからきているのでしょうか?
「はじめに」から。
私たちは、主たるエネルギー源として糖質を利用し、ほか脂質やタンパク質も代替エネルギー源として利用して、ミトコンドリアでATPというエネルギ―を生産して生命活動を維持しています。
糖質の代表選手は「砂糖」です。
巷の健康情報では、砂糖は最悪最強の毒に近い物質であると喧伝されています。
砂糖はショ糖とも言い、グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)がくっついた二糖類です。
グリコーゲンは、グルコースが数珠つなぎになった、グルコースの貯蔵体です(お菓子のGlicoの社名の由来です)。
ちなみに、江崎グリコの江崎利一が「食品による国民の体位向上」を強く願うようになった理由のひとつに、チフスにかかった息子に、グリコーゲンを与えることで体力を取り戻したことがあるのは有名なエピソード、だそうです(グリコのホームページから)。
ミトコンドリアを使わないエネルギー産生は、解糖系(発酵)を使います。
酸素が不足して、ミトコンドリアの「呼吸」がうまく働かないときに、酸素がなくても(嫌気的)に、エネルギー産生します。
グルコースが解糖系で代謝されると、最後は筋肉疲労物質ともいわれる「乳酸」になります。
「代謝学」の「はじめに」にもあるように、グルコース(ブドウ糖)の欠乏状態(血糖値が低下した状態)で、エネルギー源のバックアップ機構が、グリコーゲンや代替エネルギー源の中性脂肪やタンパク質です。
よく巷で聞かれる「糖質制限」。
糖質を制限すると、体をバックアップ燃料で動かす必要が出てきます。
単純に、このエネルギー産生の機構からみても、体、特に大量のエネルギーを消費する「脳」を、少ない糖とあとはバックアップ燃料でなんとか体はエネルギーの切り盛りしなくてはいけなくなります。
代替燃料は、長期に燃やしていると効率が悪くゴミもでるので、体は、「節電」状態になっていきます。
脳は大量に糖を使うので、糖が少なくなると、思考も節電状態に陥ってきます。
十分な糖をエネルギー源としてミトコンドリアでクリーンに効率的に回して、細胞がエネルギッシュになれば、自然と病気は遠ざかっていきます。
病気の人は、糖のエネルギー代謝が落ちています。
歯周病も、この糖のエネルギー代謝の回復が根本治療となります。